1.イントロダクション 〜省エネルギーへの視点〜

アクアレイヤー写真 私は「アクアレイヤー・ヒーティング・
 システム」という床暖房システムを開発
 しました。それは、新しい床暖房なので
 すけど、今まででいう「設備機器」では
 なくて、「熱部材」といっております。
 「機器」ではなくて「部材」なんです。
 構造部材とか、屋根部材とか、仕上げ部
 材とかいう建物を構成するために必要な
 基礎「部材」ということです。それを、
 床暖房的に使う事が出来るんですけど、
 今までの床暖房が持っている欠点を、ほ
 とんど全て解決してあります。

「熱部材」というのは、特に熱容量の少ない木造の家の床構造の中に熱を貯め込む役目と、その熱を
均一に分配する役目を持っています。つまり、基本的な考え方は、これからどんどん普及させていっ
て欲しい「パッシブソーラーハウス」を構成するための、一つの部品ということなんです。現在それ
を製作して、販売、施工をする会社を細々と経営しているのですが、営業の方法はご連絡いただきま
すと、初めて訪問して説明をしています。興味があり、検討してみたい方だけに説明しているわけで
す。その時に、売り込むような話をするのではなくて、『これからの社会では、どの様な視点から家
を考えればよいか』をお話します。今回は、そんな話を、改めてまとめてみました。

私たちの未来のことを考える時、地球の現実をイメージする事ができるととてもわかりやすくなると
思います。海の深さの平均は3500mぐらい、対流圏は10kmの高さまで、オゾン層の最も密度の高い
部分は高度約30kmです。地球の直径を1mとしますと、海の深さは0.3mm、ジェット機が飛ぶ高さ
は地上から0.8mm、オゾン層の中心までは2.4mmしかありません。このように、私達の命を支えて
いる空間部分は地球のほんの上っ面の表層で、ひどく繊細なものなんです。
省エネの意識の原点は、先ず、このような認識が必要だと思います。

それともう一つ持たなければいけない認識は、地球の温度環境がいたって安定しているということで
す。夏、冬の温度差はありますけど、月など他の天体に比べますと、いたって安定した熱環境です。
だからこそ私達は生きていられるといってもいいでしょう。地球は、月と同じように太陽からのエネ
ルギーに曝されていますが、月みたいに、温度が急上昇したり、急下降することはありません。それ
は、太陽から入ってきた熱を、うまく地球上に分散させるメカニズムが備わっているからなんです。
太陽から地球に入って来た熱と、出て行く熱は当然一緒です。そうでなければ温度が上がり過ぎるか、
下がり過ぎるかしてしまいます。
そうならないのは、空気と水の存在のおかげで、それらが自然の法則に基づいて、対流を起こしてい
るからなのです。

入ってきた熱により温められた空気や海水は軽くなり対流が起きます。それが熱を速やかに分散させ
ているのです。それと同時に、対流の仕組みが、熱を宇宙に捨てているのです。また、一方で余分な
熱の一部は温められた大地から直接宇宙に放射して出て行きます。だから安定した熱の環境の中で、
私達は生きていられるのです。
ですから、様々な気象変化というのは、地球上の熱環境を均一にする働きと、熱を宇宙に捨てる働き
が現れている現象ともいえます。このことが地球を住みやすくしてくれるメカニズムといえるものな
のです。雨も、風も、台風も、雷も、雪も、私達の地球を住みやすくしてくれる、自然の仕組みの現
象なんです。ただし、それがまさに薄皮のような表層の中で行われている、とてもデリケートな現象
であることを私たちはあまり意識していません。雨ももっと味わい深いものに見えてくるでしょう。

こういう認識を私達は先ず持つ必要があると思います。その上で、初めて省エネのことを考えること
が出来るのだと思います。私達は一つの有限の大きさの、とてもデリケートな体系の中で生きている
という認識から出発しないと、「省エネ」という問題の本質的な解決策を見つけることが出来ないの
ではないでしょうか。                         (2001年2月改訂)