2.省エネの定義再考

「省エネ」の考えは、今は、地球環境の問題から出ているわけですけど、それは全ての生物の根元の
問題であるわけです。当然、生物の中には私たち人類も含まれているわけです。
また、今まで何千年とかかって、築き上げてきた「文明」そのものを見直さねばならない、という問
題に直面することになるわけです。
つい最近までは「電灯はこまめに消しましょう」という事が、「省エネ」といわれたこともあります
が、現在そんなレベルではないことは確かです。
省エネとは何とも大変な問題でありますが、私が考えてきましたことが、多少なりとも、参考になれ
ばと思います。

私は、偶然、建築業界に入ってしまいまして、その中で特に、床暖房を通していろいろな体験をし、
考えさせられることが多々ありました。そんな体験の中から「家づくりのための省エネの考え方」と
いうことでお話しをしてみたいと思います。
「省エネ、省エネ」といわれて久しくなりますが、現在におきまして、残念ながら「省エネ」という
言葉はまだ明確に定義がされていないと思います。また立場によって、勝手に、都合が良いように利
用されているような気がします。国の都合もあるし、企業の都合もあるし、個人の都合もあるし、な
かなか難しいのでしょう。それに加えて、私たち自身まだ実感として、「省エネ」の必要性が明確に
意識できていないからではないかと思います。
しかし、明確にしなければ具体的な対策は立てようにもありません。

一般的には「省エネ」は「エネルギーの節約」と単純に考えられています。勿論それも間違いではあ
りませんが、どうして節約しなければいけないのか、何を節約したいのか、何をどの様に節約するの
かという具体策を明確にして、実行する必要があるでしょう。
エネルギーの節約でいう「エネルギー」とは何かというと、一般的には「石油」のことを指している
わけです。というよりも、化石燃料全体のことですね。それの消費を抑えることを、「節約しよう」
「倹約しよう」「使うのを我慢しよう」と言っているようです。それが現代においての常識的な「省
エネ」といういい方なのだと思います。
しかし、「石油エネルギー消費の節約」という視点から考えれば、「使う量を減らす」ということで
すが、それで全てが解決するわけではないと思います。現在、本当は既に、「省エネ」は簡単に「エ
ネルギーを節約すればいい」と言っていればすむ話では無くなってしまったような気がします。もう
既に「化石燃料は使ってはいけない」レベルにあるかも知れないと思うからです。
だいたい、本来は、エネルギーは節約する物ではなく、利用する物だと思います。これから新築され
るということは、その家が21世紀のあらゆる問題に曝され、対応していかねばならないということで
すから、今一般的に言われている「省エネ」は確実に、出来るだけ、実行しておく必要があります。
化石燃料の消費量は出来るだけ少なくする「家と生活の仕方」は地球人としての最低のモラルだとも
思います。

現在、二酸化炭素による温暖化、フロンによるオゾンホール、人口の爆発、ゴミ激増問題、環境ホル
モン、ダイオキシン問題等々、ちょっと考えると私たちの社会は激変の最中にいるといっていいでし
ょう。多分、私たちは人類史上最大の産業革命、社会革命に巻き込まれつつあるのではないかと思い
ます。
最初の産業革命は蒸気機関と共に始まりました。つまり石炭エネルギーが登場したわけです。言い方
を変えると、これは、二酸化炭素の発生を急速に拡大する革命だったわけですが、それがまだ、ます
ます進んでいるわけですが、その中で現在進められようとしている産業革命は、多分、二酸化炭素を
発生させない社会を作るための革命の始まりのような気がします。

20世紀の文明は「石油」という思わぬ見つけものがあったために、太陽からの恩恵が無くてもやって
いけるんだと錯覚し、自然に対して尊大になり、行き先が良く解らないままただ突っ走った文明だっ
たわけですけど、21世紀は、20世紀で大失敗して学んだことをベースにして考えていく文明だと思う
のです。それは多分、二酸化炭素を出すのは止めようという今までとは全く逆方向ですから、大革命
だと思います。その中で「省エネ」という明確な目標を持って新築することはどういうことなのか、
まだ正解は誰も解らないのだと思いますが、でも、何とか解決する糸口を見つける努力はしなければ
ならないと思います。