4.私の『熱とエネルギー』との関わりについて
  〜伊是名島に見る自然と自立性〜

私の、今までに出会った「熱、エネルギーとの関わり」につきましてお話ししたいと思います。
会社にイゼナと名を付けました経緯も多少関係ありますのでそこからお話しします。
                    
           伊是名島写真            

イゼナは「伊是名」と書きます沖縄の島の名前です。
1986年に沖縄に社員旅行で行った時に偶然行き着きました。全く偶然です。それまで全く知りませ
んでした。たまたま海洋博をやっている本部港にバスで行ったら、伊是名行きのフェリーが停泊して
いたので乗りました。

伊是名島は観光の島ではないので、ほとんど知られていませんが、直径4kmぐらいの小さな島です。
そこでいろいろ感激させられました。当然、暖かいですから、米は二期作です。年に二回取れます。
島なのに、かなり海の近くまで井戸があり、真水を汲み上げることができます。何で海の近くで真水
が出るのか不思議でした。何か自然のメカニズムが働いているわけです。自然のメカニズムというの
は非常に単純でいて、当然理にかなっているわけです。この辺を解明して、利用することは、今後の、
省エネの一つの大きなテーマです。沖縄本島がどんなに、水飢饉に見舞われても水が涸れたことはな
いそうです。どうしてなのか何とも不思議な気がしました。
また、ここには毒ヘビのハブがいません。土壌との関係があると言われています。それも不思議でし
た。産業といえば、サトウキビの栽培です。もずくの養殖もやっているようです。特におもしろいな
と感じたのは、火力発電所の燃料にサトウキビの絞りかすが使われていることです。いわゆるゴミ燃
料ですね。絞りかすとは太陽エネルギーを変形した物ですね。勿論、不足分は石油を使いますが、そ
れでも随分面白いなと思いました。縁側には常にお茶が用意されていて、誰でもが飲めるようになっ
ているのにも感激しました。勿論、コバルトブルーの美しい海と、漆喰で固められた赤瓦の家並み、
掃き目の付いた白い砂地の道など随分感激しました。

この伊是名島で感じたことは「省エネ」というより、風土を利用したといいますか、風土に根ざした
生活といいうような感じがとても新鮮に思えたことです。省エネの生活の仕方の原点を見る思いでし
た。島の人々を見ると、一人でいろいろな仕事をこなしている、要はマルチ人間なんですね。何かと
ても効率の良い生き方といいますか、温度の低いエネルギーレベルだけを利用して生活をしているな
と感じました。
省エネの原点になる一つには、「自分でやること」の復権ではないかと思っています。

伊是名島へ行ったことを機会に、実は、会社を辞めて独立しました。その時に、伊是名島の素晴らし
さにあやかりまして「イゼナ」という名前を勝手にいただいてしまったという次第です。それがイゼ
ナの名前のいきさつなのですが、何を申し上げたいかと言いますと、これからの「省エネ」の考え方
に、「風土」つまり、簡単に言いますと、自然環境条件から見た立地条件とでもいいますか、それを
素直に受け入れ、それだけを利用して行く生き方があるのではないかということなのです。
自然環境条件というのは、「近くに森がある」とか「川がある」とかいうことばかりでなく、日照条
件とか、太陽の角度とか、湿度とか1年を通して、どんな特性がある土地なのかということです。今
まで培ってきた知恵と技術を使って、きちんとした物理的数字に基づいて風土の条件を把握し、理解
して設計に生かしていくことです。