7.水素エネルギーとの出会い
  〜太陽電池と水素エネルギー〜
 
もう一つ私には自分の方向を決めるための、画期的な本との出会いがありました。横浜国大の教授で
いらした太田時男先生が書かれました「水素エネルギー(講談社現代新書)」との出会いです。
1974年、26年前のことです。その時、絶対、水素エネルギー社会になると直感しました。なぜなら、
水素は水を電気分解して取り出せるからです。原料が水だということと、水素を空気中の酸素と結合
させれば、エネルギーを取り出せるわけですから。
エネルギーを取り出すと、水が出来るわけです。廃棄物は出ないのです。廃棄物という概念ではない
んです。先ず水があって、H2Oですね。水素と酸素の固まりです。これを太陽エネルギーを使って水
素と酸素に分けてやるわけです。
 
つまり電気分解ですね。誰でも小学校の時に実験をしてよくご存じだと思います。その水素を貯めて
おいて、酸素は空気中に放出しちゃえば良いわけです。分解した時に、水素に太陽エネルギーが貯め
込まれたと考えればよいと思います。こんどその太陽エネルギーを取り出して使う時には、さっき空
気中に放出した酸素とくっつけてやれば良いのです。
そのくっつけるのに燃料電池という仕組みが必要なんです。そこに水素と空気中の酸素を入れてやる
と、貯めてあった太陽エネルギーが電気と熱という形で取り出せるのです。エネルギーという形で取
り出した後には水ができます。どこにでもある水を使い、誰でもただで使える太陽エネルギーを使え
ばエネルギーはいくらでも取り出せるということになります。その為にはまだ今は高級な仕組みが必
要ですけど。

誰が考えたってこんな良いものはないと思いました。「これだ!」と思いました。現在、水素エネル
ギー社会が随分、近づいた気がします。2003年には相当数の自動車メーカーが燃料電池を積んだ電
気自動車を発売する予定だ、といわれています。つまり、車に積める燃料電池システムが実用化され
つつあるということなのです。自動車で実用化されれば燃料電池システムはいずれ、各家庭に入るこ
とになると思います。車で可能であれば、住まいに入れるのは、わけないことだと思います。家には
車に比べるとスペースは充分にあるし、振動もありません。車で可能なら価格も適当でしょうし、家
庭に入るのは容易だと思います。太陽電池と水の電気分解装置、水素を貯める装置があれば、水素が
作れるわけですから、個人にとって、理屈の上ではエネルギーの自立が可能になります。そんな社会
が来るのは、そう遠い未来の話ではないと思います。

太陽エネルギー学会へ入った当時、私が自宅に太陽電池を取り付けて発電するなんて考えもしません
でしたが、20年で可能になりました。太陽エネルギーを取り込む太陽電池は既にもう実用化されてい
るし、水素エネルギーが使えるようになるのに大して時間はかからないと思います。

実は、これが今日の結論なのです。水素エネルギー社会が究極の省エネ社会なのだと思います。つま
り、化石燃料を節約するのが第一段階の「省エネ」、今ですね。少しの化石燃料と太陽エネルギーと
のハイブリッドが第二段階。水素エネルギーに転換することが第三段階の「省エネ」だと思います。
第三段階は、太陽エネルギーの社会ですから、もはや「省エネ」という言い方ではないのだと思いま
すが。意外と早く来るかも知れません。そう期待します。