12.省エネのための考え方
  〜省エネ住宅設計のために〜

これから述べることは一つの「考え方」です。実際には、立地条件が全て違う訳ですし、予算もいろ
いろでしょうから、具体的な形として実現するためには設計士さんとよく話し合って決めていただき
たいと思います。
まず快適さとは何かを確認するために、人間の熱特性につきまして少し話してみたいと思います。
 
私達は一定体温を保つことにより正常に活動できるように出来ているわけです。そのため、たえず、
微妙に体温の温度制御をしなければなりません。体の中では常に熱を作り出しており、通常は、体内
で発生させた熱をいろいろな自然の仕組みと原理を使って外に捨てています。

第1は、体から遠赤外線という形で、外へ熱を捨てています。これを輻射で熱を発散したと言います。
このことは、室内の熱環境を考える上で、とても大切なことです。

第2は、体は常に空気と接していますから、空気の方の温度が低ければ、体の熱は空気の方へ移動し
ます。これを、熱が伝導で伝わったと言います。このとき、同時に対流によっても熱は奪われていき
ます。さらに空気が早く動くと、つまり風があると、より多くの熱が空気に伝えられます。風が強い
と体感温度が下がるのはこのためです。

第3は汗をかくことです。それは皮膚の表面から汗が水蒸気になり、空気中に発散して行く時に多く
の熱を皮膚から奪います。これを気化熱による熱の発散といいます。もちろん、風があるとさらに多
くの熱が奪われていくことは言うまでもありません。

こういう自然のメカニズムを使って私達は一定の体温を維持しています。それもかなり精密に行って
います。熱が出て、体温が1度上がっても調子が悪くなるわけですから。

特に、夏は熱にさらされています。直射日光や、湿気を多く持った暑い空気や、直射で温められた道
路の二次輻射や、自動車からの熱放射などです。
体にどんどん熱が入って来るため、どんどん冷やさなければなりません。あらゆる手段を使って、必
死で、放熱しなければなりません。体温が何度か上がってしまうと熱射病になり、命に関わるわけで
す。
日傘はなるべく日陰を作り、直射日光による熱の流入の一部を防御するためのものなわけです。です
から、暑い時は、体からどんどん熱を捨てて、体温を一定に保とうとします。出来るだけ衣服を薄く
して、空気の流れに体が接触しやすくし、汗が蒸発しやすいようにします。気化熱で、体温をどんど
ん奪ってやるわけです。体を冷たい空気に接触させて熱を奪い、体温のバランスをとるための設備が
冷房なわけです。

一方、冬は寒さにさらされています。体温に比べて非常に低い温度の空気や、冷たい窓ガラスや、冷
え切った外壁などにさらされます。寒い時は体から熱が逃げ過ぎてしまい、体温が保てなくなります。
そのため、衣服を着込んで、出来るだけ何重かの空気層を体の周りに作ります。上手い具合に空気が
最大の断熱材だからです。ですが、そうすると、家の中では行動しにくくなってしまいます。
だから一番外側の防寒コートの役割を、建物の断熱層に任せるわけです。出来るだけ防寒コート(建
物の断熱)にお金をかければ、室内では軽装で、それでいて快適に居られる訳ですね。

こうして私たちは夏と冬のことを考えて家を設計しなければなりませんが、実は、夏冬とも快適さを
維持する共通の考え方があるのです。
それは、「大きな熱容量」を家のどこかに持たせることなのです。