16.気密についての考え方

「気密」という言葉に対していろいろな意見に出会いますが、私の場合、立場上、エネルギーのこと
を考えながら「気密」について考えているので、次の点で気密を高く評価しています。

まず第一に「住んでから化石エネルギーを使わない住宅を作る」ことを目標にしています。

二つ目に、「家は長持ちするのが当たり前である」と考えます。

三つ目に、「結露が出る前にその発生メカニズムを抑える」のが基本だと思います。つまり、物理的
に結露の発生するメカニズムを理解し、それを合理的に排除する仕組みを作るべきだと考えます。

そんな視点から気密について話したいと思います。
断熱材だけで断熱をすることには実は限界があります。家から温められた空気は、逃げよう逃げよう
といつも身構えています。

コンクリートの建物の場合は、温められて空気が逃げてしまう隙間、開口部以外はほとんど無いので
すが、つまり、コンクリートの建物はすでに高気密なわけです。それにも関わらず断熱が不十分なた
め、すごい結露を発生させたわけです。みなさん勘違いしていることなのですが、コンクリートが断
熱性が良いと思っているんですね。熱は貯め込みますけど、断熱性能は非常に悪いんです。木に比べ
ると10分の1から15分の1しかありません。断熱材に比べると30分の1か40分の1しかありません。
しっかりした外断熱をしなければエネルギーを非常に食う建物になってしまいますし、それよりも冬
は底冷えするし、夏はいつまでも非常に暑い部屋になってしまいます。

木造の場合は、どうしても空気の抜ける部分が多くあります。悪い施工というわけでなく、木を主体
に使っているわけですから、それらが乾燥して縮んだり、湿気をすって膨張したり、よく変形するわ
けです。変形による隙間から熱が逃げるわけです。変形して隙間が出来ても空気が漏れないようにす
ることが気密にすることです。壁の内側にポリエチレンシート等を張ることが一般的です。それは同
時に防湿層の役目も果たし壁内結露を防止します。湿気が壁内に向かって拡散することを阻止するた
めです。躯体内結露とは室内の空気が暖かいため、より多くの湿気、水蒸気を含むことが出来、その
水蒸気が湿度の低い外気の方向に向かって流れて行くために、拡散して行き、その拡散していく途中
で温度が下がり、水滴になってしまうことです。
 
断熱材は壁の外側では外気と接触しているわけですから、外側は非常に冷えています。ですから断熱
材の途中で必ず露点温度になっているため、そこまで到達した水蒸気は水に変わってしまい、断熱材
を濡らしてしまうのです。断熱特性は当然低下しますし、何よりも木材を腐らせてしまいます。それ
を防ぐには水蒸気が断熱材の中に入らないようにしなければなりません。つまり室内側に防湿層をつ
けるわけです。具体的にはポリエチレンシートで内側から壁をおおってやるわけです。勿論開口部は
そのままです。ですから、気密にすることはエネルギー消費量を減らすと同時に、家も長持ちさせる
ことになるのです。断熱材を使って防湿シートをしっかりしないと、家が長持ちしない場合があると
いうことです。

結論を言えば、断熱材を入れて、防湿、気密をしっかりすることは、家を長持ちさせるばかりでなく、
エネルギーの消費量を減らし、ランニングコストを下げ、二酸化 炭素の発生量を少なくすることに
もつながるのです。

〜気密と換気について〜

「気密」と言いますと「換気」ということが出てきます。
密にするということは隙間を無くすことですから、部屋の空気と外気が行き来し難くなります。部屋
の中には人間が出した炭酸ガスや、たばこの煙や、臭いは勿論のこと、合板などから放出されたホル
ムアルデヒドなどが貯まることになります。それらはやはり外に捨てなければなりません。空気の入
れ換えをしなければいけないということですね。

ただし、都心部や、幹線道路に面している場合に、空気の入れ換えというのはどういう事になるので
すかね。隙間を無くしたため、自然に入れ替わるのを待ってるわけには行かないのですから、強制的
に入れ替える必要があります。それが計画換気です。換気を任意にコントロールする事ができる換気
ということができます。

それに対して自然換気というやり方もあります。これは、自然に空気が流れる構造を作ることで、自
然の流れに任せるのですが、閉めたり開けたりある程度のコントロールはできる構造です。但し、流
量はその時の外部条件などにより変化してしまいますので、任意にコントロールというわけにはいき
ません。

隙間換気を奨励する人もいます。自然まかせ換気ということですが、自然換気とは違います。断熱と
いう概念の無かった時代の家は、勿論、好むと好まざるとの関わらず自然まかせの隙間換気だったわ
けです。特別意識しなくても空気の入れ換えは行われていたわけです。そのため、取り立てて換気の
ことを配慮する必要はありませんでした。昔は、換気するという概念その物が無かったわけです。現
在において、隙間換気にするというのもこれも一つの選択かも知れませんが、その場合、暖房はカー
と熱が来る局部暖房という考え方をした方がよいと思います。
例えばこたつがそれに当たります。寒さに慣れるという生活をするのであればこういう方式もあるか
も知れません。但し、気を付けないと、暖房によっては、先ほど申しましたように壁内結露の問題が
出ます。今、隙間換気と言っても昔と違って断熱材はしっかり入れますからね。特に気を付ける必要
があります。衣服の調節と、必要な時だけ局部暖房をするという生活も一つの省エネかもしれません。
衣服だけを少し調整するだけで、済ますことの出来る住まいが、勿論、最高の省エネ住宅です。