床暖房から学んだ『蓄熱』…蓄熱の大切さPart1
埋設タイプの床暖房が快適だった
蓄熱の大切さを最初に意識したのは自宅に埋設床暖房を入れたことによる。 床暖房は部屋全体が温まるまで暖房効果が感じ難いので、 一般的に立ち上がりが遅い暖房システムと言われている。 実はこれはパネル式やシート式などの熱容量の至って小さいタイプの床暖房に対してであり、 熱容量(蓄熱量)の非常に大きなコンクリート埋設式の床暖房には当てはまらない。 確かにコンクリート埋設式は初めてスイッチを入れた時は、 その大きな熱容量(蓄熱量)のために非常に時間が掛かるが、 一度温めてしまうと今度はなかなか冷め難くい為、 次から立ち上げ時間を気にすることは無くなる。
詰まり、すべての床暖房の立ち上がりが遅いわけではなく、 ・商品として売りやすく、 ・簡単に設置しやすくすること を目的にした簡便と言われる床暖房の立ち上がりが遅いのである。 皮肉な事に、立ち上がり時間を出来るだけ早くしようとして床暖房自体の熱容量を小さくした結果、 逆に立ち上がりが遅いと言うレッテルを貼られる事に成ってしまった。 熱容量をほとんど持たない電気シートヒーターや電気式パネル状の床暖房は、 床に設置する前に単独で温めれば直ぐに温度は上がる。 置き型の電気ヒーター、電気ストーブと同じだからである。 しかし、設置して床材や下地合板の熱容量と部屋の熱負荷などが加わると、 床材や下地合板を暖めるのに時間を要し、 途端に人間が暖かいと感じるまでの立ち上がりが遅くなってしまう。 現代人の時間感覚からすると、立ち上り時間が遅いと感じてしまうのだろう。
熱容量『蓄熱』が大きいと良いことがたくさんある
床材や下地合板の熱容量と言っても中途半端に少ない量なので蓄熱された効果が出ず、 細かくスイッチを切ったり入れたりを繰り返し、 あたかも温度が一定であるかのような見せ掛け制御をすることになる。 所謂ギザギザ制御である。 (設定温度まで上がると自動的にoffになり、温度が2度程度下がると自動的にonになる。) コンクリートや水を用いて、熱容量が大きく成れば成る程、このギザギザ制御は無くなり、 身体に感じない位の非常に穏やかな温熱環境を作り出してくれる。 詰まり制御そのものがあまり必要なくても良いことになる。 =制御が緩やかなので機械の寿命も長くなる。 また、熱容量(蓄熱)が大きいと換気の為に窓を一時開けて冷気が流れ込んでも、 部屋の温熱環境を作っているのが大きな熱容量(蓄熱)の床であるので、 温度は殆ど下がらず、窓を閉めれば暖かさを直ぐに回復してくれる。 定期的な換気が必要なコロナ時代には、 大きな熱容量『蓄熱』の暖房システムは至って有効である。