施工実績

箱の家163@熊本2019年7月 竣工

boxhouse163

建 物

  • 用途専用住宅
  • 構造規模木造2階建

アクアレイヤー

  • 厚さ90mm
  • 長さ122.80m
  • 水量約2.6t
  • 敷設面積56.31㎡
  • 敷設階1階
  • 熱源床下エアコン


↑↑↑外観

2019年7月に竣工した「箱の家163@熊本」は、猛暑の日にオープンハウスが開催されました。
「室内はとんでもなく快適で、難波さんとともに予想を超える冷房性能に驚かされました。」
と話してくれたオーナーは、大手自動車メーカーで研究開発に携わる技術屋さんです。
2011年に関東で3.11を、2016年には転勤地で熊本地震を体験され、熊本に住まいを開発しようと決意。
試行錯誤様々な検討を重ねられた結果、建築家・難波和彦氏(株式会社難波和彦・界工作舎)に設計を依頼されるに至ったそうです。
「箱の家」のコンセプトは是非、株式会社難波和彦・界工作舎のwebページと著書「箱の構築」「箱の家に住みたい」をご覧ください。

「箱の家163@熊本」のアクアレイヤーの考え方

AIRaquaシステム(床下エアコン)を採用し、1階全面にアクアレイヤーを設置しました。
エアコン1台で全館空調を実現しています。
アクアレイヤーを南北方向に設置し、床仕上げ材にフレキシブルボードを採用することで、昼間のダイレクトゲインの有効利用も期待できます。
床下エアコンはLDKゾーンの階段下スペースに設置しています。
温風が循環しにくいゾーンでは、吹出ファン付きの床スリットを設置し、更に間仕切壁にも換気扇を設置し効果的に空気が循環させています。
また、冷房対策としては、床下の涼気をダクトファンで2階天井付近から吹き出し、冷房効果を向上させています。

下のイメージスケッチは、冬と夏の使い方イメージです。

boxhouse163
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アクアレイヤーについての実測温度のグラフとご感想

2019年9月から2020年4月末までの実測グラフ

オーナーが無線式温湿度計を用いて測定されたデータを提供くださいました。
※下のグラフをクリックすると拡大グラフをご覧いただけます。

box house163@kumamoto_graph2
グレーの面状折れ線グラフは、外気温です。最低気温と最高気温を示しています。
ブルーの棒グラフは、冷房の運転状況、オレンジの棒グラフは、暖房の運転状況を示しています。
赤い折れ線グラフは、アクアレイヤーの水温を示しています。
オレンジの折れ線グラフは、実線が1階の最高気温/日、点線が1階の最低気温/日を示し、
紫の折れ線グラフは、実線が2階の最高気温/日、点線が2階の最低気温/日を示しています。

冷房時のエアコン設定温度は27℃~28℃、暑い時期の快適なアクアレイヤー水温は24℃~25℃程度のようです。
快適な気温&湿度は27℃~29℃&50%~60%程度、28℃を超えて湿度が65%を超えると蒸し暑く感じると記録されていました。
10月初旬に冷房運転を止めて、暖房運転を開始したのは11月末となっています。
10月末頃からエアコン運転を開始することが多い中、11月末まで引き延ばせたのは、断熱&蓄熱がしっかりしている故と思います。

暖房時のエアコン設定温度は21℃~23℃程度の日が多く、いずれもアクアレイヤー水温はエアコンの設定温度より高く22℃~24℃となっています。
快適と言われている温度域に見事に納まっていて、改めて断熱と蓄熱の効果を見ることが出来てうれしい限りです。
そして何より、着衣量が年間を通してTシャツ&短パンか、ロンT&短パン、たまに短パンがスウェットに変わるとのことです。
年間を通してあまり変わらず、寒い冬でも厚着をする必要のない環境になっていることが伺えます。
意外と、頂いたデータの中でもこの項目が一番うれしい評価かもしれません。

オーナーからのメールより

難波さんからエアアクアというシステムの採用を提案され、僕はそのシステムに興味を持ちましたが、本当に冷暖房(特に冷房)が効率よく働くのかを頭の中で何度もシミュレーションして検討してみました。
そして、仮説としてのエアアクアシステム(+ダクトファン)は有効と判断し、難波さんに採用可を伝えました。
実検証してみた結果、夏の冷房は予想以上に効力を発揮してたいへん快適な夏を過ごせましたし、冬の暖房も想定した通りに快適に過ごせました。
まだ梅雨時を経験していませんが、今から楽しみにしています。
アクアレイヤーは問題解決に対して、複雑化ではなく原点からシンプル化を目指して開発されたということで、「箱の家」にはぴったりなシステムなのでしょう。

とてもうれしいお言葉、ありがとうございます!

カウンターアローファンについて

予想と外れたのは、冬場の床下還流ファンを逆転させて、2階の暖かい空気を床下に送る計画でしたが、
うちの暖房温度が21℃程度で十分暖かかったので、2階が1階の温度と同等で、ファンを逆転させて使用すると、床下温度を低下させてしまうことが分かりました。
そのため、床下還流ファンの使用は中止しました。(夏の床下還流ファンはものすごい威力を発揮しました!)

高温すぎる暖房は必要ないということが良く分かるご意見だと思いました(^^)/
ますます自信をもって、20℃前後の暖房温度を薦めていこうと思います!!


↑↑↑内観

この度は貴重なデータを誠にありがとうございます。
今後もより、快適な温熱環境をつくるべくより一層努力を重ねたいと思います。
ひきつづきどうぞよろしくお願いいたします(^^)/

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